睡眠外来で診る病気
睡眠外来で診る病気

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まる、あるいは呼吸が浅くなる病気です。特に「10秒以上の無呼吸」が1時間に5回以上ある状態を指し、多くの場合、いびきや日中の強い眠気などの症状を伴います。自分では気づきにくい病気ですが、生活の質(QOL)を大きく低下させるとともに、高血圧・心疾患・脳卒中・糖尿病などの重大な病気を引き起こすリスクがあるため、早期の診断と治療がとても大切です。
日本では成人男性の約4%、女性の約2%に見られるとされ、特に中高年に多く、肥満や首回りの脂肪が多い人にリスクが高いといわれています。ただし、痩せ型の人や子どもにも発症することがあるため、いびきや眠気が続く場合は注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群は、原因によって大きく分けて次の2種類に分類されます。
最も多いタイプで、睡眠中に上気道(のどや舌の付け根)が塞がって呼吸が止まるものです。肥満や扁桃肥大、下あごが小さい、舌が大きいなどが原因となります。
脳からの呼吸指令がうまく働かずに呼吸が止まるタイプです。心不全や脳卒中後、神経疾患の影響で起こることがあります。
多くの方は「閉塞性睡眠時無呼吸」に分類され、気道が狭くなる構造的な要因と筋肉の弛緩が重なって、夜間に呼吸停止を繰り返すようになります。
SASの症状は多岐にわたり、以下のような特徴があります。
日中の眠気は特に深刻で、交通事故や労働災害の原因になることもあります。実際、SASの患者さんは交通事故リスクが健常者の4〜7倍高いと報告されています。
睡眠中に呼吸が繰り返し止まると、そのたびに血液中の酸素が低下し、交感神経が刺激されて血圧や心拍が上昇します。そのため、以下のような病気と強く関連しています。
SASを放置すると、心血管疾患のリスクが2〜3倍になるとされており、命に関わることもあるため注意が必要です。
診断には、まず問診や簡易検査を行い、必要に応じて精密検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフ検査)を行います。
鼻の呼吸、いびき、酸素飽和度、脈拍数、体位などを測定し、無呼吸低呼吸指数(AHI)を評価します。→ AHIが5以上でSASと診断されることがあります。
医療機関または入院環境で行い、脳波、眼球運動、筋電図、呼吸の詳細を総合的に評価します。
重症度や原因に応じて、次のような治療を行います。
もっとも標準的な治療法で、就寝時に鼻にマスクを装着し、気道に空気を送り込み続けることで、無呼吸を防ぎます。多くの患者で症状が大幅に改善します。保険適用の対象です(診断と定期受診が必要)。
軽症〜中等症のSASに有効で、睡眠中に下あごを前に出して気道を広げる装置を使用します。歯科での製作が必要です。
体重を減らすことで、気道の狭さが改善し、症状も軽減します。特に10%以上の減量で症状が半減することもあります。
扁桃腺の肥大や鼻中隔の変形など、構造的な問題が明らかな場合には、手術が検討されることもあります。
日々の心がけで、症状の改善や治療効果の向上につながります。
当院では、SASが疑われる患者さまに対して、問診・簡易検査の実施・専門施設との連携による精密検査の紹介・治療の継続管理まで、一貫したサポートを行っています。CPAP療法の導入や継続的な指導も行っており、機器のトラブル対応もご相談いただけます。
「いびきがひどい」「日中の眠気がつらい」「パートナーに無呼吸を指摘された」といった方は、どうぞお気軽にご相談ください。睡眠の質を見直すことは、日常のパフォーマンスだけでなく、将来の健康にもつながります。
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